サステナビリティへの取り組み

TCFD提言に基づく情報開示

当社のTCFD提言に基づく情報を開示しています。

(更新日:2025年6月18日)

1. 基本的な考え方

当社グループでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同し、気候変動が事業に与えるリスクと機会を適切に分析・評価する体制を強化しています。これにより、気候変動リスクと機会を事業戦略に統合し、持続的な事業利益の創出と社会からの評価向上を実現することを目指します。今後も、TCFD提言に基づく情報開示の充実を図るとともに、環境負荷を低減した持続可能な事業運営を推進して参ります。

2. ガバナンス

当社グループでは、社会・環境に配慮した事業運営を経営の最優先事項の一つと位置付け、気候変動におけるリスクと機会の管理を、取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心に推進して参ります。

また、サステナビリティ委員会のもとにサステナビリティ推進課およびグループ各社にサステナビリティ担当者を設置しています。サステナビリティ推進課およびグループ各社のサステナビリティ担当者が具体的な施策の立案・推進・管理を行い、その内容をサステナビリティ委員会へ報告します。サステナビリティ委員会が気候変動に関する事項や取組について定期的にモニタリングし監督することで、継続的な改善を行っています。今後も、気候変動課題への対応を強化し、持続可能な事業運営を推進して参ります。

3. 戦略

シナリオ分析

当社グループは、気候変動がもたらす事業リスクと成長機会を的確に把握し、持続可能な成長を実現するために、TCFD提言に基づくシナリオ分析を実施しています。今回の分析では、「コンテンツ&デジタル事業」と「アミューズメント機器事業」の2事業を対象とし、気候変動の進行や脱炭素政策が当社グループの事業環境に及ぼす影響を評価しました。

シナリオ分析においては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つを採用しました。1.5℃シナリオでは、炭素税の導入強化やエネルギーコストの上昇等、脱炭素化への移行リスクが事業活動に与える影響を評価しました。一方、4℃シナリオでは、気温上昇による異常気象の増加やインフラ被害等、物理的リスクが事業運営に及ぼす影響を分析しました。

この分析には、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とIEA(国際エネルギー機関)のシナリオを活用し、2030年時点の影響を想定しました。今後も、気候変動に関するリスク・機会の評価を継続し、持続可能な事業活動を推進するとともに、ステークホルダーの皆様に対して透明性のある情報開示を行って参ります。

シナリオ概要 参照シナリオ
1.5℃シナリオ 現状よりも厳しい気候変動対策が取られ、世界の平均気温上昇が1.5℃に抑制されるシナリオ ・IPCCによるSSP1-1.9
・IEAによるNZE(一部SDSを基に試算)
4℃シナリオ 現状を上回る気候変動対策が取られず、世界の平均気温が4℃程度上昇するシナリオ ・IPCCによるSSP5-8.5(RCP 8.5)
・IEAによるSTEPS


シナリオ分析結果
コンテンツ&デジタル事業

1.5℃シナリオでは、環境への配慮に関する要請が高まり、炭素税導入や排出量取引が活発化することが予測されます。企業として環境への取組を進めなければ大きなリスク(企業の信用度やブランド価値の毀損等)があります。4℃シナリオでは、気候変動が甚大化することにより、台風・大雨や酷暑で外出機会が減少すると想定されます。結果として、物販やイベントの営業機会を損失するリスクがある一方、デジタルコンテンツや屋内・オンラインイベントの需要は増加すると見込んでいます。

項目 2030年
財務インパクト
対応策
4℃ 1.5℃
リスク 移行リスク 炭素価格の賦課 Scope1と2に対する炭素税の導入により、運営コストが増大し営業利益を圧迫する可能性がある - 炭素排出量削減の取組強化
情報開示に係るコスト増加 サステナビリティに関する情報開示や管理の費用が増加する - 情報開示ツールの活用、開示体制の効率化
電気料金高騰による販管費増加 電気料金の高騰により販管費が増加する 省エネによる電気使用量の削減
環境負荷の低いグッズ製作に係るコスト増加 環境負荷の低い代替材等を用いることにより、材料の調達コストが増加する - 材料調達網の強化
環境対応の劣後によるブランドイメージ毀損 顧客行動における環境への配慮の有無の重要性が高まり、環境対応への取組が劣後することで、取引減少等に繋がる恐れがある - 環境配慮に関する取組推進
物理リスク グッズ製作に係るコスト増加 原材料価格の高騰や供給の不安定化により、グッズ製作のコストが増加する - 材料調達網の強化
台風・洪水等による事業停止・機会損失 水被害や浸水リスクが発生し、事業活動が停止する恐れがある。加えて、自社拠点における防災・復旧コストが増加する - 屋内を活用した撮影・映像制作
気候変動によるイベント集客の減少 平均気温上昇により、夏季の外出意欲が低下し、イベント集客が減少する - デジタルコンテンツへの自社IP提供を強化
機会 デジタルコンテンツの需要拡大 外出頻度の低下に伴い、室内で楽しめるデジタルコンテンツの需要が増加する -

※2030年のセグメント営業利益予測に対して
小:財務への影響が3%未満
中:財務への影響が3%以上10%未満
大:財務への影響が10%以上


アミューズメント機器事業

1.5℃シナリオでは、環境への配慮に関する要請が高まり、炭素税導入や排出量取引が活発化することが予測されます。遊技機においても、省エネ・リサイクルに対応した製品の開発への要求が高まることが想定されます。4℃シナリオでは、気候変動の甚大化により、製造拠点・営業拠点・店舗(パーラー)の物理リスクが高まることが想定されます。加えて、大雨・台風や酷暑により店舗集客・売上が減少し、取引先であるパーラーの購買力が低下する恐れがあります。自社においては、BCP強化等の物理リスク低減に努めつつ、パーラーに対しては、気候変動に適応した新たな運営形態・サービスの支援を行うことが考えられます。

項目 2030年
財務インパクト
対応策
4℃ 1.5℃
リスク 移行リスク 炭素価格の賦課 Scope1と2に対する炭素税の導入により、運営コストが増大し営業利益を圧迫する可能性がある - 炭素排出量削減の取組強化
情報開示に係るコスト増加 サステナビリティに関する情報開示や管理の費用が増加する - 情報開示ツールの活用、開示体制の効率化
電気料金高騰による販管費増加 電気料金の高騰により販管費が増加する 省エネによる電気使用量の削減
環境への配慮が遅れることによる人材コスト増加 環境への配慮に関する取組が遅れることで、人材獲得コストが増加する - 環境への配慮に関する取組推進
ガソリン料金高騰による販管費増加 ガソリン料金の高騰により、営業活動のコストが増加する - 営業の効率化によるコスト削減
環境負荷の低い遊技機製造に係るコスト増加 環境負荷の低い代替材等を用いることにより、材料の調達コストが増加する - 省エネ・リサイクルに対応した製品の開発強化
物理リスク 原材料、エネルギーの高騰による製造コスト増加 原材料価格の高騰や供給の不安定化により、遊技機製造のコストが増加する - 材料調達網の強化
猛暑による集客減少に伴うパーラーの購買力低下 平均気温上昇により、夏季の外出意欲が低下し、パーラーの集客が減少する。結果としてパーラーの購買力が低下し、当社の取引に影響を与える - 気候変動による影響を加味したパーラーの運営形態・提供サービスの推進
水害や浸水リスクの発生による補修費用 水被害や浸水リスクが発生し、事業活動が停止する恐れがある。加えて、自社拠点における防災・復旧コストが増加する - BCP(事業化継続計画)の策定 各拠点における非常時/緊急時に備えた訓練の実施
機会 省エネ・リサイクルに対応した製品の開発・取扱強化 電力使用量を低減する省エネ対応、リサイクル可能な遊技機の開発・取扱を強化する -
パーラーの空間づくり提案 低排出エネルギーへの切替等、気候変動の影響を加味した新たなパーラーの運営形態・サービスが求められる - -

※2030年のセグメント営業利益予測に対して
小:財務への影響が3%未満
中:財務への影響が3%以上10%未満
大:財務への影響が10%以上

4. リスク管理

気候変動に関するリスクは、企業の持続可能性に大きな影響を与える重要なリスクと認識し、適切な対応を進めています。

気候変動に関するリスクは、移行リスク(脱炭素社会への移行に伴う規制や市場の変化)と物理リスク(気温上昇や異常気象の影響)に分類し、サステナビリティ推進課において、リスクの特定・評価を行っています。リスクの特定・評価結果は、サステナビリティ委員会へ報告しています。必要に応じて、取締役会へも報告を行い、監督・指示を受ける体制を整えています。

また、当社グループはリスクのモニタリング体制を強化しており、リスクの発生状況や対策の進捗を定期的に評価し、必要に応じて施策を見直しながら改善を図っています。今後も、気候変動リスクへの対応を強化し、持続可能な事業運営の実現に向けた取組を進めて参ります。

5. 気候変動に関する指標・目標

政府の掲げる2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、当社グループでも温室効果ガス排出量の削減に向けた取組を積極的に進めて参ります。当社グループの温室効果ガス排出量は下記のとおりです。目標については、今後のサステナビリティ委員会にて審議・決議を行って参ります。

【円谷フィールズホールディングスグループ Scope1、2、3 の温室効果ガス排出量(t-CO2)実績】 (単位:t-CO2)

Scope1 Scope2 Scope3
カテゴリ6 カテゴリ7
2025年3月期 715.645 1,169.548 216.3 263.143
2024年3月期 860.299注1 1,091.406注1 185.0注2 234.321注2
2023年3月期 855.134 715.386 - -


・Scope1:2025年3月期:円谷フィールズホールディングス(株)、フィールズ(株)、(株)円谷プロダクションの3社で使用する車両におけるガソリン消費量の総計に当連結会計年度末において入手可能な環境省の「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」における排出係数を乗じることにより、算出しています。
2024年3月期:昨年開示時点から収集範囲を拡大し、2025年3月期と同様の範囲で再計算した数値を記載しております。
2023年3月期:円谷フィールズホールディングス、フィールズ(株)で使用する車両について算出しています。
なお、ハイブリッド車の導入率向上等により、2025年3月期の排出量は前年比で減少しております。

・Scope2:2025年3月期:円谷フィールズホールディングス(株)、フィールズ(株)、(株)円谷プロダクション他13社が入居する本社拠点、(株)円谷プロダクションの本社以外の4拠点、(株)デジタル・フロンティアのモーションキャプチャースタジオ、フィールズ(株)の支社支店及びショールーム(更新日時点で収集可能な範囲:12支店、1ショールーム)で使用する電気使用量の総計より算出しました。
2024年3月期:昨年開示時点から収集範囲を拡大し、2025年3月期と同様の範囲で再計算した数値を記載しております。
2023年3月期:円谷フィールズホールディングス(株)、フィールズ(株)、(株)円谷プロダクション他13社が入居する本社拠点並びにフィールズ(株)の仙台支店、広島支店、福岡支店で使用する電気使用量の総計より算出しました。
なお各拠点の電力消費量に、当連結会計年度末において入手可能な環境省の「電気事業者別排出係数」における全国平均係数を乗じることにより、見積りの方法に基づきロケーション基準によるスコープ2温室効果ガス排出を測定しています。

・Scope3:2025年3月期および2024年3月期の従業員の出張(カテゴリ6)および通勤(カテゴリ7)による排出量を新たに算出しています。
カテゴリ6は、全国1年間の出張に係る交通費、宿泊費、パック旅行の参加費(観光庁『旅行・観光消費動向調査(2010年)』より引用)に、金額当たりの交通手段別排出原単位と宿泊の排出原単位を乗じ、排出量に換算した上で、全就業人口から排出原単位を算出し、従業員数(連結)に乗じることで算出しています。
カテゴリ7は、円谷フィールズホールディングス(株)、フィールズ(株)、(株)円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティアの従業員の交通区分別通勤費支給額から算出しています。


※温室効果ガス排出量データは、環境省の発表した係数をもとに当社が更新日現在において収集可能な範囲で算出した推定値であり、今後変更となる可能性があります。

注釈

5. 気候変動に関する指標・目標
温室効果ガス排出量の把握(Scope1,2,3)


注1 「2024年3月期 Scope1」および「2024年3月期 Scope2」の数値
2025年6月18日付で掲載した2024年3月期の数値は、2025年3月期と同様の収集範囲に拡大したうえで、再計算した結果を記載しています。
そのため、2025年1月14日付で掲載した数値と差異が生じております。


注2 「2024年3月期 Scope3 カテゴリ6および7」の数値
2025年1月14日付で掲載した「2024年3月期Scope3のカテゴリ6と7」の表示に誤りがありました。
(カテゴリ6と7の数値が入れ替わって表示されておりました)
2025年6月12日付で正しい内容に訂正し、掲載しております。
ご利用の皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。